Googleの歌 #8

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Googleの短歌

ぐーぐつてぐーぐつてまだあきたらずウィキーをひきなほひきたらず
坂井修一『望楼の春』

坂井修一の第七歌集『望楼の春』(2009年)に収められた一首です。

“ググる”という言葉が使われるようになったのはいつ頃からでしょうか。”ググる”とは、Googleを使用して情報を検索する行為を表す言葉です。元々はGoogleで検索することを指していた言葉ですが、場合によってはGoogle以外の検索エンジンで調べることも”ググる”といわれることもあります。”ググる”の”ググ”はGoogleからきていることは明白ですが、それほどまでに、検索といえばGoogle検索が優れていて普及したということだったのでしょう。

さて、この歌は「ぐーぐつてぐーぐつて」と始まります。「ぐーぐつてぐーぐつて」とは、”ググる”動作を繰り返しているということでしょう。主体は何か調べたいことがあったのでしょうか。とにかくGoogle検索を行い、また出てきた結果を元ににさらに検索を行うということをずっとしてきたのですが、それでも「あきたらず」とあり、とにかく満足できなかったのでしょう。

そして、その後「ウィキー」すなわちWikipediaのことでしょうが、Wikipediaを開き、続きを調べ始めたということだと思います。そのWikipediaも「ひきたらず」とあり、Google検索ののちWikipediaへいっても、まだ充分ではないということでしょうか。

ここで改めて思うのは、「あきたらず」「ひきたらず」とあることから、ひょっとすると元々調べたいものが明確ではなかったのかもしれません。無目的に、そのとき思いついたことをとにかく調べているといった状況の方がしっくりくるかもしれません。

そうであれば「あきたらず」や「ひきたらず」がわかるような気がします。このときの状況を喩えるとしたら、百科事典を読みまくるといった状況に近いでしょうか。もしインターネットが普及しておらず、ウェブサイトもない状況で、とにかく調べたい、色々と知りたいという欲求がでてくれば、百科事典などに当たったのではないでしょうか。

Google検索もWikipediaも、紙媒体としての百科事典を凌駕するほどの情報を蓄積しているでしょうし、そもそも百科事典には倫理的な問題や紙幅の問題、あるいは些末すぎて掲載できないような情報すら、キーボードを打ち込めば簡単に出てくるのです。

情報に、簡単に、いいかえれば、安易にアクセスできることが果たしていいことなのかどうか、これはさまざま意見はあると思いますが、各人が上手に使いこなしていけばいいことではないでしょうか。

Google検索やWikipediaに留まらず、今後はAIの活躍がさらに広がっていくと思いますが、こういった最新技術や最新機能はいつの時代も生まれるものです。その時代時代の機能を否定するのではなく、どうせなら楽しんでしまうくらいがいいのかもしれません。

掲出歌は15年以上前に詠まれた歌ですが、そのときに登場した機能を使いつくしてやろうという楽しさが窺えるような一首だと思います。

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