『短歌をつくろう』佐佐木幸綱・谷岡亜紀

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短歌をつくろう
質問者

小学生向けに書かれた、楽しい短歌の入門書はないかなあ?

これから短歌を始める小学生が楽しみながら読み進めることができる一冊として、佐佐木幸綱・谷岡亜紀の『短歌をつくろう』をあげたいと思います。

もしも身近に短歌を教えてくれる先生や知り合いがいる場合はいいのですが、そのような人がいない場合に当書はおすすめの一冊でしょう。

少し長くなりますが、当書のそでには次のようなメッセージが書かれています。

 この本を読んでくれた君が、短歌を少しでもすきになってくれれば、それでもう「短歌入門」の役目は十分にはたしたことになります。そのためにはまず、すきなうたを一首、見つけてください。そうすればきっと、そのうたをつくった歌人をすきになり、そして、もっともっと、その人のうたを読みたくなるはずです。そして、すきな歌人が何人かできたとき、すでに君は、短歌全体が大すきになっているだろうと思います。

「個性的に! 自分らしさを。」

 ぜひ、短歌をつくる楽しさを、君と分かちあえたらと思います。

短歌の楽しさを伝えたいという思いが伝わってくるのではないでしょうか。

当書はイラストをふんだんに載せ、キャラクターが登場し短歌の世界に魅了されていく様子が一冊を通して描かれています。ですので、これから短歌を始める人も楽しんで短歌に親しむことができるようになっています。

とにかく楽しみながら短歌を知ってみたい、つくってみたいという小学生にとってはぜひ読んでほしいと思います。また楽しいだけではなく、多くの歌に触れたり、短歌づくりの上達のコツを学べたり、内容盛りだくさんの一冊になっています。

ひとりで黙々と読むのもいいですし、友達とわいわい読むのもいいですし、いずれにしても当書を通して短歌の楽しさを味わってみてはいかがでしょうか。

目次

当書のもくじ

まずは『短歌をつくろう』のもくじを見てみましょう。

短歌づくりの基礎知識

短歌ってなに?

  • 短歌ってなに?
  • こんな短歌もある!
  • 短歌と俳句と、どうちがうの?
  • 五七五七七、短歌のきまり
  • リズムとひびき
  • 意味とイメージ(抒情とは)
  • 短歌の用語
  • いい短歌って、どんな短歌?
  • まとめると……

短歌実作の入門

まず作ってみよう!

  • どんなことをうたえばいいの?
  • 感動ってなんだ?
  • ことばであそぼう
  • ことばをこわそう!
  • 自分のまわりに目をむけよう
  • どんなことばを使えばいいの?
  • なんでもうたっちゃおう!
  • 自分で発見したものを自分らしいことばで

●短歌上達のコツ

じょうずになりたい

  • 取材しよう!
  • 細かいところをていねいに
  • 季節や時間を入れる
  • 場面のきめかた
  • 焦点のきめかた
  • 自由にオノマトペを使おう
  • 固有名詞をどんどん使おう
  • 用語・書きかた
  • リズムのきめ手
  • 比喩
  • 個性的に! 新しい世界へ
  • ぼくらはことばの探検隊

お母さま方へ

さくいん

大きく三つのパートに分かれています。

最初のパートが短歌の基礎知識について書かれており、用語解説だけでなく、”いい短歌とは何か”といった内容にまで踏み込んでいます。

残り二つは実作を中心とした内容で、各パートは基礎編と上級編といった位置づけとなっています。

おすすめのポイント

それでは、当書の特長やおすすめのポイントを順番に見ていきます。

メッセージが明確でわかりやすく、深い内容に切り込んでいる

当書は、次の三つのメッセージを伝えることを目的に書かれています。

  • 実際に短歌をつくってみてほしい
  • 〈こころ〉や〈自分〉について考えてほしい
  • 〈ことば〉に自覚的になってほしい

このメッセージを読者に伝えるための構成がなされています。一つ目のメッセージを伝えるべく、第二パート、第三パートは実作中心の内容で書かれています。

二つ目のメッセージは、「感動ってなんだ?」「個性的に! 新しい世界へ」といった部分で具体的に触れられています。

三つ目のメッセージに関して、言葉の色々な面、言葉の楽しさなどは、「ことばであそぼう」「ことばをこわそう!」をはじめとして、当書全体を通じて味わうことができるのではないでしょうか。

このように三つのメッセージを届けたいという著者の熱い思いで書かれているため、軸がはっきりしており、単に表面をなぞっただけではない深い内容となっています。

イラストがあるので、読みやすくイメージしやすい

上の三つのメッセージをよりはっきり伝えるために、当書ではイラストが多く使われています。

各ページの上半分には毎ページ、文章の内容に合わせて、たかはし・しんやのイラストが描かれているのが特長です。

本を読み慣れていない人にとっては、文字だけの本よりも、多くのイラストがある本の方がとっつきやすいと思います。また短歌をよく知らないという人にとっても、このイラストはとても有効で、書かれている内容がイメージしやすいようになっています。

取り上げられている歌数が豊富

とにかく引用されている歌が豊富で、多くの歌に触れることができるようになっています。

取り上げられているのは必ずしもわかりやすい歌ばかりではなく、初めて短歌に触れる人にとってはむしろ歌意の取りにくい歌もあります。

しかし、短歌は意味だけではなく、その音楽性を味わうというところが大切で、いい歌にたくさん触れてほしいという著者の思いがあふれています。

多種多様な歌がたくさん掲載されているので、きっとお気に入りの一首を見つけることができるでしょう。

索引がついている

巻末に五十音順の索引がついているのもポイントです。

短歌用語だけでなく、歌人名および短歌の初句も載っていて、後で振り返るときにとても役立ちます。

まとめ

『短歌をつくろう』を読むと得られること

  • 実作、こころ、自分、ことばといったキーワードのメッセージが明確に当書に反映されており、軸のある深い内容の一冊となっている
  • イラストが多く載っているので、初めての人でもとっつきやすく、読みやすい
  • 取り上げられている歌が豊富で、多種多様な短歌に触れることができる
  • 索引があり、後で振り返りやすい

当書は、文章だけでなくイラストがついているのがやはり特長でしょう。そのため、本が苦手という人でも、短歌が初めての人でも、とっつきやすく読みやすいつくりになっています。

引用歌が豊富で、多くの短歌に触れることができるのもとてもいい点だと思います。

小学生あたりを対象として書かれた本ですが、ある程度短歌に親しんだ人が読んでも新たな発見があると思います。

初めての人もそうでない人も、ぜひ当書から短歌の奥深い世界に触れてみてはいかがでしょうか。

書籍・著者情報

書籍情報

著者佐佐木 幸綱 ・ 谷岡 亜紀
発行さ・え・ら書房
発売日1989年4月1日

著者プロフィール

佐佐木 幸綱

1938年, 東京都生まれ。早稲田大学卒業。歌人。早稲田大学教授。現代歌人協会理事。「朝日新聞」歌壇選者。歌集に「群黎」「直立せよ, 一行の詩」「夏の鏡」「火を運ぶ」など。評論集に「万葉へ」「柿本人麻呂ノート」「万葉集東歌」。ほかに「百人一首をおぼうよう」など。
(当書著者略歴より)

谷岡 亜紀

1959年, 高知市生まれ。早稲田大学中退。佐佐木幸綱に師事して短歌を始める。竹柏会「心の花」会員。第五回「現代短歌評論賞」受賞。
(当書著者略歴より)

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