将棋の歌 #7

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将棋の短歌

金之助、龍之介とが擦れ違ふ将棋盤にも東洋の秋
光森裕樹『鈴を産むひばり』

光森裕樹の第一歌集『鈴を産むひばり』(2010年)に収められた一首です。

「ああ苦しいとみんな云ふから(夢十夜 第六夜)」という一連の冒頭に置かれた歌で、「龍と竜とは違ふと聞くが」という詞書が添えられています。

「金之助」とは夏目漱石の本名であり、「龍之介」は芥川龍之介のことでしょう。詞書は「龍之介」と書かれる場合と「竜之介」と書かれる場合があることに触れています。

また『夢十夜』は夏目漱石の著名な作品であり、連作の題から「金之助」が夏目漱石の本名であることが導き出されるようにされています。

さて、将棋の駒に目を移せば「金将」と飛車が成った場合の「龍王(竜王)」がありますが、この「金」と「龍」を「金之助」「龍之介」と重ねて詠んだのが掲出歌です。

つまり夏目金之助と芥川龍之介の邂逅を、将棋の盤上における金将と龍王との闘いになぞらえた巧みでユーモアのある一首です。

この歌を知ってしまうと、これ以後将棋を指すときに金将と龍王が近づいた場面でこの一首を思い出してしまいます。

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