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短歌に興味を持ち始めて10年ほどになります。短歌の世界は実に魅力的です。短歌の奥深さをもっともっと知って発信していきたいです。

将棋の歌 #1

将棋の歌1

穴熊は穴より出でてふらふらと仕留められたり赤い「と金」に
松村正直『午前3時を過ぎて』

松村正直の第三歌集午前3時を過ぎて(2014年)に収められた一首です。

将棋において「穴熊あなぐま」とは正式には「穴熊囲い」といい、将棋の囲いのひとつです。玉を盤の端に移動させ、銀でふたをし、その横にさらに金二枚をくっつけた形が基本の形となります。

将棋盤の隅に玉を置くため、王手がかからないのが特徴であり、最も堅固な囲いとなっています。

さて、この歌は将棋の歌ではありますが、動物の穴熊と将棋の穴熊がうまく重ね合わされた構成になっています。

初句から四句までは普通に読めば、動物の穴熊が穴から出ていって、猟師か誰かに仕留められたという場面を思い浮かべます。ところが結句で「赤い「と金」に」という表現が出てくることによって、これは動物の話ではなく、将棋の話だったとわかります。

動物の穴熊の様子を想像しながら読んだ読者は、結句でいきなりその映像を将棋の場面にすり替えさせられるという事態に遭遇します。「穴熊」という言葉をうまく利用して、結句まで読者を誤誘導(ミスリード)する非常に巧みな一首といえます。

実際の将棋においても、固い守りである穴熊囲いが徐々に破られていって、玉が少しずつ盤の中央側に吊り上げられていくさまを見ることはありますが、ふらふらと穴から出ていく穴熊の姿と重なります。

将棋の駒で「と金」の文字は赤色で書かれていることがほとんどですが、殊更「赤い」と述べることで赤色のイメージが鮮明に浮かんでくる、色彩的にもインパクトのある一首だと感じます。

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