ラーメンの歌 #19

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ラーメンの短歌

カップラーメンの好みが合わなくてこんなに気まずくなるのはすごい
谷川電話『深呼吸広場』

谷川電話の第二歌集深呼吸広場(2022年)に収められた一首です。

ラーメンの味といえば、しょうゆ、みそ、塩、とんこつ、魚介系などさまざまあり、ラーメンという一括りの中でも、人それぞれ好みが違います。最近では、フレンチやイタリアンと関係をもたせたラーメンもあり、その範囲は拡大しているといっていいでしょう。つまり、ラーメンとひと言でいうことは簡単ですが、その中身を詳細に見ていくと、かなり細かいジャンル分けが可能ということになるかと思います。

さて、掲出歌ではカップラーメンの好みの相違について詠われています。

カップラーメンも本当に色々な種類が出ていて、定番のものから季節限定商品まで多数の商品が日々登場しています。インスタントラーメン全体では年間約800種類以上も新商品が発売されているともいわれています。

この歌で、好みが合わないといっているのは誰と誰でしょうか。二人だけではないかもしれません。ただ「こんなに気まずくなるのはすごい」と詠われていることから、一緒にカップラーメンを買って食べようとしている仲であると推測されます。もしも、あまり親しくない人とカップラーメンの好みが合わなくても「こんなに気まずくなる」ことはあまりないと思えるからです。

それにしてもカップラーメンの好みが合わないことで、それほど気まずくなることがあるのでしょうか。これがもし、外食でラーメン屋にいく場面であれば少し違ったのかもしれません。ラーメン店ではその場で注文するため、その中から好きなラーメンを選ぶことができます。もちろんその店に置いてあるメニューの中からという限定ですが、一応選択は可能です。

カップラーメンも購入する場面を考えると、スーパーやコンビニの棚に並べられた商品から好きなものを選ぶことができるでしょう。そう考えると気まずくなるのは、関係する人々の中の誰かがすでにカップラーメンを購入していた場面ではないかと想像してしまいます。例えば、二人だったとして、しょうゆ味のカップラーメンを一人が買っていて、一緒に食べようとした場面かもしれませんが、もう一人はしょうゆ味のカップラーメンは好みではなかったというような状況かなと思いました。でも、家に今あるのはしょうゆ味のカップラーメンのみで、他の味はない。となれば、しょうゆ味のカップラーメンを嫌々一緒に食べるか、一人だけ食べないか、あるいは違う味のカップラーメンを買いにいくかなど、とにかくせっかく用意されているカップラーメンを一緒に食べるという共有の時間が心地よいものではなくなってしまいます。

カップラーメンに限らないとは思いますが、食の好みというのはとても重要で、好み一つで気分がよくもなり悪くもなるということを端的に伝えてくれる一首です。カップラーメンという具体物の限定がとても効果的で、シンプルな表現ながら中々深い歌ではないかと感じます。

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