問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈【 ① 】は君の死ぬのを待つてゐる揶揄せし人もこの世に在らず〉 (雁部貞夫)
A. 棺桶
B. ヒマラヤ
C. パソコン
D. 古本屋
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解答 – Answer
D. 古本屋
解説
古本屋は君の死ぬのを待つてゐる揶揄せし人もこの世に在らず
掲出歌は、雁部貞夫の第二歌集『辺境の星』の連作「神保町界隈」に収められた一首です。
人の死を望んでいるものや事柄として、何を浮かべるでしょうか。
この歌には「古本屋」が死を待っているという見方が登場しますが、いわれてみると確かにそうかもしれないと感じます。人が死んだ後、その人が抱えていた膨大な蔵書は古本屋に流れる場合も多いでしょう。しかも蔵書の中に貴重な本が含まれている場合、なおさら古本屋はその本を手に入れたいと思っても不思議ではありません。
ここでは「古本屋は君の死ぬのを待つてゐる」といった人のほうが「君」よりも先に死んでしまったのです。今はもうこの世にいなくなったその人も蔵書をたくさん抱えていたのでしょうか。そしてその蔵書は古本屋の手に渡ったのでしょうか。
本が古本屋に渡るということは多くの人にとって好ましいことではありますが、この歌のようにどこか寂しさを感じさせる場面も存在しているのだと感じます。