問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈きみにだけ見える季節があるやうにぼくだけに降る【 ① 】がある〉 (西田政史)
A. 流星
B. 秋霖
C. 歳月
D. 故郷
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解答 – Answer
A. 流星
解説
きみにだけ見える季節があるやうにぼくだけに降る流星がある
掲出歌は、西田政史の第二歌集『スウィート・ホーム』の連作「夕風に殴られてゐた」に収められた一首です。
同じ場所で同じように時間を過ごしていたとしても、自分と相手が同じものを同じように見たり感じたりしているとは限りません。むしろ人はそれぞれ別個の生き物ですから、同じ対象に向き合っていたとしても、その対象を同じように捉えるということのほうが難しいのかも知りません。
「きみ」が見る「季節」は「ぼく」には感じとることができませんが、反対に「ぼく」が知る「流星」は「きみ」には感じとれないのです。しかし、お互いがそれぞれ感じとることができるものを無理に共有しようとしている印象はありません。それぞれがそれぞれであればいいといった、ある種の距離感のようなものを感じます。決して拒絶した距離ではなく、人という生き物である以上埋めようのない距離感であるがゆえに、共有できない状況はいってみれば自然なことなのだというように感じられる一首です。
それにしても「ぼくだけに降る流星」とは何とも壮大で素敵な瞬間です。