問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈声しぼり児の泣ける時【 ① 】父親われはただにとまどう〉 (大下一真)
A. ひ弱なる
B. 平凡な
C. 無口なる
D. 大柄な
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解答 – Answer
B. 平凡な
解説
声しぼり児の泣ける時平凡な父親われはただにとまどう
掲出歌は、大下一真の第一歌集『存在』の連作「父たり」に収められた一首です。
自分の児が声の限り泣いている状態のとき、どうしていいかわからずにただ戸惑っている、そんな状況を詠った歌です。泣き止んでほしいと思ってもなかなか泣き止んでくれない、そんな経験がある人もいることでしょう。
ここでは注目したいのは、自分自身を「平凡な父親」とストレートに言い切っているところです。平凡な父親であるがゆえに、ただ戸惑うばかりなのです。別の見方をすれば、平凡な父親と表現することで、戸惑うことは仕方がないことだという許しを得ているようにも思います。
恰好をつけず戸惑う自分を表現してみせる、そこから平凡ではあるけれど児と向き合う父親としての輪郭が徐々にかたちづくられていくような一首だと感じます。