問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈【 ① 】ばかり触るる音してアパートはどの窓も日曜の朝遅く来る〉 (岸上大作)
A. 皿
B. 風
C. 夢
D. 花
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解答 – Answer
A. 皿
解説
皿ばかり触るる音してアパートはどの窓も日曜の朝遅く来る
掲出歌は、岸上大作の遺作集『意志表示』の連作「屋上の空」に収められた一首です。
この「アパート」とは自室のことを指しているのでしょうか、それともアパート全体のいくつかの部屋のことを指しているのでしょうか。いずれにしてもマンションのような大きな建物ではなく、こじんまりとしたアパートを想像させます。
そして小さなアパートだからこそ、皿と皿が触れる些細な音が注目されているのでしょう。騒がしくないアパートの日曜の朝において、食後の食器でしょうか、皿を重ねる音がクロースアップされています。
「どの窓も日曜の朝遅く来る」という捉え方は面白い表現です。朝の始まりが、窓から差し込む光によって始まるとすれば、窓から光が入ってくる時間帯が遅いということでしょうか。単純に朝目覚めるのが遅かっただけかもしれません。またはそのようなことではなく、主体の生活感として日曜の朝の始まりが遅いと感じているということでしょうか。それは気持ちの持ち方とも関わりがあるともいえるのかもしれません。
ただ「どの窓も」というあたりに、若干の閉塞感のようなものが感じられる歌です。