問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈おのずから【 ① 】をしたるあとなればうるみに充てりひのくれがたは〉 (村木道彦)
A. くしゃみ
B. いびき
C. からぜき
D. あくび
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解答 – Answer
D. あくび
解説
おのずからあくびをしたるあとなればうるみに充てりひのくれがたは
掲出歌は、村木道彦の第一歌集『天唇』の連作「わがこと」に収められた一首です。
「うるみ」とは潤いのことです。具体的な場面は描かれていませんが、日の暮れ方にあくびをしたことで潤いに満ち溢れたという様子が詠まれています。
このうるみは、あくびをしたことで目が湿り気を帯びたというように捉えることができます。ただそのような身体的な変化だけではなく、少し踏み込んで精神的に潤いを帯びたというふうに捉えてもいいのかもしれません。単に目が湿っただけではなく、青春期の主体の心の微妙な変化を、あくびという生理現象を通して詠っていると読んだほうが歌に広がりが生まれるでしょう。
初句の「おのずから」という語も効いていて、青春期の自身で制御できない部分を暗示しているような気さえしてきます。