問題 – Question
〈忘れねば空の夢ともいいおかん風のゆくえに萩は打ち伏す〉という巻頭歌で始まる、馬場あき子の第五歌集は何?
答えを表示する
解答 – Answer
『桜花伝承』
解説
『桜花伝承』は1977年(昭和52年)に出版された、馬場あき子の第五歌集です。1972年(昭和47年)から1976(昭和51年)までの283首が収められています。
能や古典への造詣の深さから紡ぎ出される歌々は、艶を保ちつつ美しくも妖しい世界を構築しています。生と死という、人間にとって避けて通れない題材が、自然を背景として心に迫ってきます。
『桜花伝承』をきっかけに朝日歌壇の選者にも選ばれました。
本歌集にて第2回現代短歌女流賞受賞。
『桜花伝承』から五首
もしは自刎の心ならずや逃散のあかとき露の首なき菩薩
人魚棲む海の北限あかるみてうたたかなしき春の牡丹雪
くきやかに物の輪郭うきいずる西日の部屋の母が針山
さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり
夭死せし母のほほえみ空にみちわれに尾花の髪白みそむ