問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈ほそながい【 ① 】だと渡されるわずかに湿る線香花火〉 (小俵鱚太)
A. 栞紐
B. 常備薬
C. 熱帯魚
D. 未来予想図
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解答 – Answer
C. 熱帯魚
解説
ほそながい熱帯魚だと渡されるわずかに湿る線香花火
掲出歌は、小俵鱚太の第一歌集『レテ/移動祝祭日』の一連「レテ」に収められた一首です。
確かに線香花火はカラフルで、「ほそながい熱帯魚」といわれればそのように思えてきますが、線香花火と熱帯魚を関連づけて見たことがある人は、これまで果たしてどれくらいいたでしょうか。
線香花火と熱帯魚という関連づけを提示されることによって、読み手には新たな気づきや視点が生まれるでしょう。
「ほそながい熱帯魚」に、これから火をつけてしまうわけですが、線香花火を線香花火として火をつけるのと、線香花火を「ほそながい熱帯魚」として火をつけるのとでは、そこに生まれる物語は異なるのではないかと思います。
それほど「ほそながい熱帯魚」という比喩は、近すぎず遠すぎず、つまりありふれているわけではなく、かといって想像できないわけではなく、インパクトがありながら絶妙であり、記憶に残り続ける、そんな一首だと思います。