問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈目覚めるとひかりに部屋はのみこまれ【 ① 】ほど淡い寝袋〉 (谷川電話)
A. 成層圏
B. 理想論
C. 希釈液
D. 水彩画
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解答 – Answer
D. 水彩画
解説
目覚めるとひかりに部屋はのみこまれ水彩画ほど淡い寝袋
掲出歌は、谷川電話の第一歌集『恋人不死身説』の一連「うみべのキャンバス」に収められた一首です。
主体は寝袋で寝ていたのでしょうか。
朝の光に目覚めると、部屋はその光に満ちていた状態だったのでしょう。「のみこまれ」という表現が、空間を満たす「ひかり」の強度を高めているようです。
注目したいのはやはり「水彩画ほど淡い寝袋」という比喩でしょう。寝袋を表すのに「水彩画ほど淡い」という表現は独特であり、とてもインパクトがあります。
「淡い」というのは、寝袋の色の淡さをいっているのでしょうか。光に飲み込まれた部屋だからこそ、その状態で見る寝袋はおそらく「淡い」ものに映ったのでしょう。本来の寝袋がもっている色からはほど遠い淡さが、目覚めの部屋の寝袋を纏っていたのだと思われます。
寝袋の中に主体は入っている状態だとは思いますが、寝袋が、寝袋ではない別の何かのような存在感をもって迫ってくるようであり、主体もろとも水彩画ほどの淡さへ溶けていく、そんな印象のある一首です。
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