問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈恐らくは【 ① 】から出遭う人と人そして【 ① 】から忘れてゆけり〉 (なみの亜子)
A. 眉
B. 鼻
C. 口
D. 耳
答えを表示する
解答 – Answer
B. 鼻
解説
恐らくは鼻から出遭う人と人そして鼻から忘れてゆけり
掲出歌は、なみの亜子の第一歌集『鳴』の一連「隣人」に収められた一首です。
人と人が出会うとき、大抵の人はまず顔を見ると思いますが、顔の中のどの部分を見ることが多いでしょうか。
掲出歌は面白い一首で、人と人は「鼻から出遭う」という捉え方がされています。
確かに顔を見たとき、最も出っ張っている部分は「鼻」ではないでしょうか。たとえば耳も出ているといえば出ていますが、顔の正面ではなく横側ですので、互いに向き合ったときに出っ張っている部分は「鼻」となるのでしょう。
互いが近づいたとき、最も出っ張っている部分が先に触れると考えると「鼻から出遭う」という捉え方も妙に納得できます。
そしてこの歌は「鼻から忘れてゆけり」と続いていくのです。「鼻から」出遭って、「鼻から」忘れてゆくのです。
最初に出遭ったところから忘れていくというのも印象的だと感じます。
一度この歌を知ると、人とすれ違うとき、新たな人と出会うとき、ついつい思い出してしまう、忘れがたい一首です。