問題 – Question
〈この空に数かぎりない星がありその星ごとにまた空がある〉という巻頭歌で始まる、沢田英史の第一歌集は何?
答えを表示する
解答 – Answer
『異客』
解説
『異客』は1999年(平成11年)に出版された、沢田英史の第一歌集です。
発想の豊かさ、展開の面白さ、そして広がりのある世界などを随所に感じ、魅力的な歌が多く収められていると感じます。
特に注目したのは、自分自身を見つめる眼が何度も登場している点です。そして自分自身が詠われる場合、そこには自分ひとりのみならず、他者との比較や、景との融合あるいは距離感のようなものが組み合わさって詠われていると思います。
あとがきには次のように書かれています。
この星に短期滞在者、「異客」としての私は、歌によって少しは自分を見直すことができつつあるのかもしれない。
あとがき
自身を「異客」として客観視し、そこから自分自身を見つめるという経路をたどることによって、これらの歌々は紡ぎ出されているのかもしれません。
1999年(平成11年)、本歌集にて第25回現代歌人集会賞受賞。
『異客』から五首
ひとはなぜかくも軽がる身を運ぶおもひきれないわれはわが身は
今おれは何をしてゐるヒトといふこんな重たいからだをまとひ
透明で有無を言はさぬ毎日が通過してゆくぼくらの中を
われといふひとつの闇がまとひたる衣装のごときわが生なるか
枯れ葦の河原に置いてきた我を誰か迎へに行つてはくれぬか