問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈【 ① 】をするように生きれば良いと夢の羊は吾に言いたり〉 (笹本碧)
A. うたた寝
B. 風読み
C. 逆立ち
D. 編みもの
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解答 – Answer
D. 編みもの
解説
編みものをするように生きれば良いと夢の羊は吾に言いたり
掲出歌は、笹本碧の第一歌集『ここはたしかに 完全版』の一連「二〇一八年九月~十一月」に収められた一首です。
この一連には、病院で治療を受ける様子が伝わってくる歌が綴られています。その中の一首が掲出歌ですが、「編みものをするように生きれば良い」という喩に深く考えさせられます。
どのように生きていくのか、それはそれぞれが決めることであり、どのように生きてもその人の一生となります。
どう生きればいいか悩んでいたときに「夢の羊」が教えてくれたのが「編みものをするように生きれば良い」ということだったのです。
では「編みものをするように」とは一体どのような生き方なのでしょうか。
人によって捉え方は異なるかもしれませんが、「編みもの」という言葉からゆったりとした、またやわらかい生き方を想像します。
また編みものは糸を縦横に編んでいくことから、単調な生き方ではなく、厚みとふくらみのある生き方をもイメージできるでしょう。簡単に仕上がらない編みものだからこそ、根気強く生きるといった意味合いも含まれているでしょうか。
日々のひとつひとつの出来事は小さくても、それが織り重なることで層のある人生になるよということを、夢の羊は教えてくれているのかもしれません。
作者の闘病生活と完全に切り離して読むことはできない歌ですが、これから先行き詰ったときに、「編みものをするように」生きるということを折に触れて思い出したい一首です。