問題 – Question
〈海賊のような髪型をとりあえずなんとかするため 投げ上げサービス〉という巻頭歌で始まる、しんくわの第一歌集は何?
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解答 – Answer
『しんくわ』
解説
『しんくわ』は2016年(平成28年)に出版された、しんくわの第一歌集です。
2004年に第3回歌葉新人賞を受賞した作品「卓球短歌カットマン」が巻頭に収められています。
しんくわの短歌に言及した文章には「へなちょこ」というキーワードが登場します。きらきらと輝く青春ではなく、どちらかといえば残念な青春がこの世界では描かれています。
けれども、残念な青春が描かれた歌が残念な歌かといえばそんなことは全くなく、その残念さからむしろリアルが伝わってきて、ぐいぐいとしんくわワールドに引き込まれていくのです。
「へなちょこ」なワールドを展開するにはユーモアが必要だと思いますが、本歌集の歌にはユーモアを感じますし、だからこそ読んでいても暗くはなりません。大笑いするような笑いではなく、深いところから滲み出てくるような笑いやユーモアがあり、そのあたりを味わうことが本歌集を読む喜びにつながるでしょう。
時にはストレートな歌、飾らない感じの歌が登場しますが、その飾らなさがかえって心に響いてきます。
また本歌集には、途中に何か所かに分けて、俳句や文章も収録されており、それらを短歌と合わせて読む楽しみもある一冊となっています。
『しんくわ』から五首
身の中にマブチモーターを仕込んでるとしか思えぬ奴の素振りだ
給食はまだこないけどとりあえず山羊には山羊の未来はあるのだ
ドローとは未来へ腕を伸ばすこと。そのせいで死ぬことも含む。
好きなひとの瞳の中に僕がいてなんて素敵な二人の焼き肉食べ放題
サンライズ瀬戸内晴美の男性遍歴ゆ、車窓を流れる東京の光