短歌クイズ Q.397

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短歌クイズ
問題 – Question

〈雨の日にわれも坂から追ってみんポーの見つけた「群衆の人」〉という巻頭歌で始まる、花山周子の第一歌集は何?

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解答 – Answer

 『屋上の人屋上の鳥』

解説

『屋上の人屋上の鳥』は2007年(平成19年)に出版された、花山周子の第一歌集です。1999年(平成11年)から2007年(平成19年)までの作品860首および長歌1首が収録されています。

歌集名の「屋上」とは浪人時代に通っていた美大予備校の屋上であるとあとがきに書かれています。

収録歌数の多い一冊ですが、その軸をなしているのが美術大学に通っている期間であり、その日々が生き生きと描かれているのが特徴です。

また家族を詠った歌、特に母や弟を詠った歌に興味を惹かれるものが多くあります。何かイベントがあったり、珍しい出来事が発生したりするわけではなく、日常の中の面白さや普段見落としてしまいそうな場面がユーモアを伴って伝わってきます。

歌の表現面についてみれば、五七五七七の定型をはみ出している歌が少なくない印象を受けます。歌集の読み始めの段階では、定型から少しずれたこのリズムが読みにくい感じがありますが、後半に向かうにつれてだんだんと慣れてきます。

またルビがかなり振られていることも本歌集の特徴ではないかと思います。ルビについては著者があとがきで触れていますが、漢字の読みのぶれを極力なくすために多く用いたということです。

題詠マラソン二〇〇五(100首詠)から69首収録されているのも含め、とにかくこの歌数の多さがあるからこそ手わされる世界をじっくりと味わいたい一冊です。

2008年、本歌集にて第16回ながらみ書房出版賞受賞。

『屋上の人屋上の鳥』から五首

君のひたいはじめて見たり台風の風が吹き抜ける屋上で今

蝙蝠こうもりの軸のないような飛び方が夕暮れの影に重なってゆく

途中までえがかれしわが似顔絵が大掃除の床にでてきたりぬ

君の声が母より出でぬ。わが真似を真似たるのみにわれよりも似て

蒲団より片手を出して苦しみを表現しておれば母に踏まれつ

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