問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈【 ① 】すらなくなるほどにマスク着け翌々日の配給を待つ〉 (犬養楓)
A. 折り目
B. 意識
C. 笑顔
D. 痛み
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解答 – Answer
A. 折り目
解説
折り目すらなくなるほどにマスク着け翌々日の配給を待つ
掲出歌は、犬養楓の第一歌集『前線』の連作「第一波」に収められた一首です。
連作のタイトルから、コロナ禍第一波(2020年第13週~2020年第20週)に詠まれた歌だと思います。新型コロナウイルス感染症が流行した初期のころ、マスクや手袋、防護服などが不足しました。医療現場ではこれらの物品を手に入れたくても充分に手に入らない状況が続きました。
この歌では、マスクについて詠われていますが、マスク一枚をとってもとても貴重なものとなり、簡単に使い捨てるわけにはいかない状況が伝わってきます。
「折り目すらなくなるほど」マスクを着用しなければならない状況、そして新しいマスクがもらえるのは「翌々日」であること、医療現場で新型コロナウイルス感染症に向かう前線の様子が描かれています。
ほしくても手に入らない状況は、まさに「配給」という語に示されています。
コロナの状況は日を追うごとに変化していきましたが、この歌は第一波当時の様子をリアリティをもって伝えてくれる一首だと思います。