問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈【 ① 】だけが揺れてる花屋みたい あなたがいない日々の日記は〉 (木下侑介)
A. フレーバー
B. 稲光
C. 花言葉
D. アラベスク
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解答 – Answer
C. 花言葉
解説
花言葉だけが揺れてる花屋みたい あなたがいない日々の日記は
掲出歌は、木下侑介の第一歌集『君が走っていったんだろう』の連作「海への切手」に収められた一首です。
花言葉とは、花や植物ひとつひとつに象徴的な意味をもたせたもののことです。
「花言葉だけが揺れてる花屋」とは、花を売るからこその花屋に、花という実態がなく、象徴的な花言葉だけが残っているような状況をイメージすればいいでしょうか。
このようなイメージと、下句の「あなたがいない日々の日記」が結びつけられています。あなたがいない日々と、花がない花屋が重ね合わされ、日記という具体物に花言葉が通じるように感じます。
あなたがいない日々の日記にも、あなたを思い出すことがあるのでしょう。それはあなたがいたという記憶の上澄みのようなものだけが残っている日々なのでしょう。花はないけれども花言葉だけが残っているイメージが、より一層あなたのいない日々を美化していく効果があるようです。
実態を伴った状態よりもむしろ、余計なものがそぎ落とされ、美しい部分だけが手渡される、そんな感覚を覚えます。
花が揺れている花屋がやがて行き着く究極の姿が、花言葉だけが揺れている花屋なのかもしれないと思うのです。