問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈鳥貴族にしてよかった店員の声が【 ① 】のように明るい〉 (水野葵以)
A. 埠頭
B. 逆光
C. 掃き溜め
D. 深夜
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解答 – Answer
A. 埠頭
解説
〈鳥貴族にしてよかった店員の声が埠頭のように明るい〉 (水野葵以)
掲出歌は、水野葵以の第一歌集『ショート・ショート・ヘアー』の連作「ラストオーダー」に収められた一首です。
「鳥貴族」はチェーンの居酒屋ですが、そこで相手と会っている場面を詠んだ歌です。この一連からは、どちらかといえば後ろ向きな関係性への移行が詠われているように思いますが、であればこそなおさら明るさを求めているのかもしれません。
店員の声が明るいのはよくあることですが、それを「埠頭のように」と例えたところがこの一首のポイントになるでしょう。
埠頭が明るいというイメージがあるかどうかは、人によって異なるかもしれません。しかし主体にとっては埠頭は明るいイメージにであり、店員の声の明るさが埠頭の明るさと重ね合わさり、その明るさがある種の救いのように感じられるということなのだと思います。
自らの力で明るくはできなくても、店員の声という埠頭が自身の今後に細いながらも希望をもたらしてくれる、そんな印象を受ける一首です。