問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈「【 ① 】?なにそれ」と言いつつ君が鞄に詰めている【 ① 】〉 (木下龍也)
A. ミラーレス
B. ソケットレンチ
C. チャクラ
D. アメニティ
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解答 – Answer
D. アメニティ
解説
「アメニティ?なにそれ」と言いつつ君が鞄に詰めているアメニティ
掲出歌は、木下龍也の第一歌集『つむじ風、ここにあります』の連作「ベランダのミイラ」に収められた一首です。
アメニティとは、ホテルが用意した備品のことで、石鹸、シャンプー、リンス、歯ブラシ、櫛などの消耗品を指す言葉です。もともとは「快適さ」を意味する英単語で、心地よさを提供するサービスのひとつとして取り入れられています。
さて、掲出歌ではそのアメニティグッズを鞄に詰めている君の場面が詠われています。
しかも君は「アメニティ?なにそれ」といっているのですが、どうやらアメニティという言葉を知らないようです。
この歌の面白さは、アメニティという言葉を知らないのに、そのアメニティを持ち帰って自分のものにしようとしている点にあるでしょう。
言葉を知らないということは、そのモノ自体を定義できないのと同じことだと思いますが、そうであるにも関わらず、そのモノ(=アメニティ)はしっかり手に入れることができてしまうというのは、ある面においてはねじれた状態ともいえるでしょう。
アメニティという、覚えづらく、イメージが湧きづらく、なじみにくい言葉だからこそ生まれた一首なのではないでしょうか。