次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈【 ① 】明日がほしくて0時まで君との電話を引き延ばしている〉 (佐佐木定綱)
A. 新しい
B. 飾らない
C. 懐かしい
D. 変わらない
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D. 変わらない
変わらない明日がほしくて0時まで君との電話を引き延ばしている
掲出歌は、佐佐木定綱の第一歌集『月を食う』の連作「シャンデリアまだ使えます」に収められた一首です。
「変わらない明日」を望むことは、今日という一日がまた明日も続いてほしいということを表しています。
それは君とやりとりした電話の時間のみならず、君との関係性、あるいは自分の今日という一日、それらすべてが明日も同じようにあればいいということでしょう。
ではどうすれば「変わらない明日」が訪れるのでしょうか。主体は、君との電話を深夜0時まで引き延ばすことで、明日も同じ一日が訪れるのではないかと考えているのです。
君との電話を明日の始まりのたった一秒でも持ち越せることができれば、今日という日の関係性が明日も続けていけるようだと信じている主体の思いが滲み出ているように思います。
電話を引き延ばしたところで、変わらない明日が訪れるかどうかはわかりません。しかし変わらない明日が「ほしくて」電話を引き延ばしている行為に、主体の思いや考えが表れているでしょう。そこに魅力を感じます。
また結句は「君との電話引き延ばしてる」とすれば七・七に収まりますが、「を」「ている」とあえて字余りに詠むことで、引き延ばし感が表現されているように感じます。
電話の向こうの君がどう思っているかは述べられていませんが、電話を引き延ばすこちら側の思いだけが全面に表れた歌で、そこに君への思い、明日への思いの強さが表現された一首はないでしょうか。