次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈【 ① 】を二等分してレジ袋あなたの方がわずかに重い〉 (toron*)
A. さみしさ
B. やさしさ
C. たのしさ
D. うれしさ
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A. さみしさ
さみしさを二等分してレジ袋あなたの方がわずかに重い
掲出歌は、toron*の第一歌集『イマジナシオン』の連作「書物の灯」に収められた一首です。
二人で一緒に買い物をしてそれなりの量を買った場合、ひとつのレジ袋では入りきらない場合があります。レジ袋ふたつに買ったものを分けて入れるのですが、同じように分けたとしてもどちらかがわずかに重くなります。
この歌において二等分するのは、買ったものではなく「さみしさ」というところが眼目でしょう。二人で買い物すれば楽しさやうれしさといった感情が起こるように思いますが、ここで分け合うのは「さみしさ」。
なぜ買い物の場面において「さみしさ」が登場するのでしょうか。
例えば勝負の世界において、ペアで闘ったとき「勝ったときの喜びは倍、負けたときの悔しさは半分」などといわれますが、「さみしさ」を負けたときと同じような負の感情と捉えればいいのでしょうか。
そもそも感情というものは様々なものが入り乱れているものですから、感情の割合はともかく、買い物において楽しさもあればさみしさもあるということなのだと思います。
買い物に限らず、あなたはいつも「さみしさ」を引き受けれてくれるといったふうに読めばいいのかもしれません。自分の方が「さみしさ」を引き受けようとしても、あなたが引き受けてくれる、そんな二人の関係性が浮かび上がってくるのではないでしょうか。
楽しさにしてもさみしさにしても、それを共有できる相手がいるということは、善し悪しは別にして、人生に深みを与えてくれるのではないかと感じる一首です。