次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈死んだらさ【 ① 】の世界に行くんだよ スナックはまゆうの看板みたいな〉 (上坂あゆ美)
A. 緑
B. 無色
C. 深紅
D. 紫
答えを表示する
D. 紫
死んだらさ紫の世界に行くんだよ スナックはまゆうの看板みたいな
掲出歌は、上坂あゆ美の第一歌集『老人ホームで死ぬほどモテたい』の連作「スナックはまゆう」に収められた一首です。
スナックの看板と聞いて思い浮かべる色は何色でしょうか。
白や黒、赤などもありますが、紫を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。統計が出ているわけではありませんが、スナックの看板には紫色が多いような印象があります。
掲出歌は、死後の世界を「紫の世界」と表現しています。その紫は「スナックはまゆう」の看板みたいな紫色だというのです。
歌集において、掲出歌の一首前に次の歌があります。
いつどこの街に行っても「はまゆう」って名前のスナックある 怖い
「スナックはまゆう」は主体が知っている特定のスナックであるとともに、どこにでも存在する不特定のスナックでもあるのです。そして看板は紫色。主体は「スナックはまゆう」に対して、あまりいい感情をもっていないようです。一字空けの後の「怖い」が、それをよく表しているでしょう。
主体にとって、スナックはまゆうの看板の紫色は、死後の世界を想像させるものなのだと思います。死後の世界を紫と捉えているからスナックはまゆうの紫色を嫌うのか、反対にスナックはまゆうの看板の紫色への怖さが死後の世界を想像させるのか、いずれにしろ、スナックはまゆうの看板の紫色は、あまりいい意味ではなく存在感を放っているでしょう。
死後の世界と、スナックはまゆう。ただならない「紫」がとても印象に残る一首です。