短歌クイズ Q.250

ごみ箱もティッシュも高い所へと移住し部屋は巨人の国に

掲出歌は、ほんだただよしの第三歌集『パパはこんなきもち。～こそだてたんか～』に収められた一首です。

この歌には次のような詞書がついています。

ティッシュほど面白いものはないのかもしれない。
だって、どんどん出てくるんだもん。

特に年齢が小さい子どもは、物を出したり仕舞ったりを繰り返すのが本当に好きです。ティッシュペーパーは一枚引っ張ったら、また次のティッシュが用意される仕組みですから、子どもにとってどんどん引っ張るにはとても適した遊び道具なのです。

親はそれを放っておくとティッシュがすぐになくなって困ってしまいますから、ティッシュを子どもの手に届かないところへ移動させます。その場面を詠ったのが掲出歌です。

机や棚の上に「ごみ箱もティッシュ」も「移住」させたのでしょう。また他にも子どもが触ると危険なものなども同じように高いところに移動させていくと、部屋にあるものがどんどん積みあがっていってしまうものです。

それを子どもの目線に立って「巨人の国」と表現したわけです。子どもにとっては手の届かないところにあるごみ箱やティッシュは、まるで巨人が使うかのように高く感じられるものでしょう。

今まで目の前にあって遊んでいたティッシュが高いところに移動されて遊べなくなってしまうという、子どもにとってはある意味さみしい状況を詠った一首だと思います。