問題 – Question
〈お名前何とおっしゃいましたっけと言われ斉藤としては斉藤とする〉という巻頭歌で始まる、斉藤斎藤の第一歌集は何?
答えを表示する
解答 – Answer
『渡辺のわたし』
解説
『渡辺のわたし』は2004年(平成16年)に出版された、斉藤斎藤の第一歌集です。
2003年に第2回歌葉新人賞を受賞した「ちから、ちから」を収録しています。
飄々とした詠いぶりですが、ここで詠われていることはひとつひとつ驚きと納得を感じさせてくれるものが多く、物事の核心を突いた歌が魅力的です。
一方で、本歌集を読むと「わたし」とは何なのかということを、徹底して考えさせられます。収録されている歌には「わたし」が出たり入ったり、近づいたり遠ざかったりしています。クロースアップされていく歌もあれば、引いたカメラで「わたし」自信を見ているような歌もあります。
歌によって視点の位置は様々ですが、そこには「わたし」がいるのです。
「わたし」が時間も空間も自由自在に行き来しているような印象を受けます。
読めば読むほど「わたし」の森に迷い込みそうになりますが、それこそがこの一冊の魅力であり、楽しみであるように感じます。
『渡辺のわたし』から五首
ガム味のガムを噛んでる音により自己紹介とさせていただく
雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれはのり弁
誰もいなくなってホームでガッツポーズするわたくしのガッツあふれる
豚丼を食っているので2分前豚丼食うと決めたのだろう
ひるねからわたしだけめざめてみると右に昼寝をしてるわたくし