問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈校庭にあしをたためる一張りのテントあるいはしづもる【 ① 】〉 (楠誓英)
A. 人骨
B. 白鹿
C. 懺悔
D. 夕陽
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解答 – Answer
B. 白鹿
解説
校庭にあしをたためる一張りのテントあるいはしづもる白鹿
掲出歌は、楠誓英の第二歌集『禽眼圖』の連作「空山のさかひ」に収められた一首です。
この歌で詠まれている「テント」は、運動会やイベントまたは避難場所などで使用する集会用テントのことでしょう。そのテントが足をたたまれて、校庭に置かれている場面です。
集会用テントは大抵白い幕がかけられています。たたまれて小さくなったテントを「しづもる白鹿」になぞらえた歌です。白鹿とは白い毛の鹿のことですが、普通の鹿ではなくどこか特別な感じを読み手に与えます。白い幕と白い毛の様に通じるものがあります。
掲出歌に登場する校庭はおそらく人がいないのではないでしょうか。たたまれたテントがそれを物語っているようです。そして結句の「しづもる白鹿」によって、より一層静かさの度合いを増していると感じます。
「白鹿」の登場により、校庭はまるで山奥の雪原のような景色へと想像はふくらみます。
「白鹿」というたったひとつの言葉によって、普段目にする光景もたちまち別の世界に変えてくれる、そんなことを思わせてくれる印象深い一首です。