問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈群れるときわたしは消える図書館の深くに【 ① 】の眠るみたいに〉 (田中ましろ)
A. 山羊
B. 司書
C. 闇
D. 史書
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解答 – Answer
D. 史書
解説
群れるときわたしは消える図書館の深くに史書の眠るみたいに
掲出歌は、田中ましろの第一歌集『かたすみさがし』の連作「群れを眺める」に収められた一首です。
人が集まって群れている状態が好きな人と、そういう状態が苦手な人がいると思います。
この歌は、群れている状態を好まない方に当たるでしょう。「わたしは消える」というところに、群れを冷めた目で見つめている様子がうかがえます。
ではどのように「わたしは消える」のかというと「図書館の深くに史書の眠るみたいに」というのです。図書館という場所だけでも静かな印象がありますが、図書館の深くとなれば尚更です。そこに眠る「史書」はおそらく何年も開かれたことのないものではないでしょうか。
とても静かで、しかも歴史的時間が詰まった史書の厳かな様を比喩として「わたしは消える」のです。
群れからすぅーと消える感じが大変よく表れており、群れを好まない人にとっては特に共感できる一首なのではなないかと感じます。