問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈むき出しのマザーボードに青年は触れる【 ① 】をさぐる手つきで〉 (堀合昇平)
A. 腫瘍
B. 海鼠
C. 宝
D. 起源
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解答 – Answer
A. 腫瘍
解説
むき出しのマザーボードに青年は触れる腫瘍をさぐる手つきで
掲出歌は、堀合昇平の第一歌集『提案前夜』の連作「中部リサイクルセンター」に収められた一首です。
「マザーボード」とはパソコンの内部にある電子回路基板で、CPU、メモリなど重要なパーツがすべて接続されるものです。パソコンにはなくてはならない基板といっていいでしょう。
「中部リサイクルセンター」という一連にある歌で、パソコンのリサイクルのためにマザーボードを取り出している場面を詠っています。
マザーボードの患部をさぐる手つきを「腫瘍をさぐる手つき」と重ねているところに、なまなまとした手触りを感じます。マザーボードは部品といえば部品ですが、日々マザーボードに触れる青年にとって、それはただの冷たい部品ではなく、生き生きと実感を伴った存在であることでしょう。
「むき出し」という初句も人間の内臓を見るかのようなリアルな印象があり、単なる機械の歌に留まらず触覚に訴えてくる一首になっていると感じます。