問題 – Question
〈吹かれつつ降る淡雪のやみしとき月冴え冴えと青き夜は来る〉という巻頭歌で始まる、黒田淑子の第一歌集は何?
答えを表示する
解答 – Answer
『丘の外燈』
解説
『丘の外燈』は1963年(昭和38年)に出版された、黒田淑子の第一歌集です。1956年(昭和31年)から1962年(昭和37年)までの作品が逆編年体で収録されています。
空、水、光、雲、雪、植物などを詠み込んだ歌が多く、写生を軸とした歌に印象深いものが見られます。
また自分自身を見つめる目は、自身に寄りすぎず、かといって第三者的な視点ほど離れすぎず、的確に自身の置かれた状況を見つめていると感じます。半歩分だけ自身から離れた目で自身を見つめているような感じであり、その半歩は自分自身にかなり近い半歩ではないかと思います。
「淋しさ」などの感情を表す直接的な言葉が詠み込まれているのも、そのような自身の感情を素直に表現しているのであり、そのような直接的な感情表現が歌の瑕にはなっていないように感じます。むしろ、直接的な感情表現が組み込まれることで、より一首へ読者が寄り添っていけるような印象があります。
無理のないゆったりとした言葉運びも読んでいて心地よく感じる一冊です。
『丘の外燈』から五首
山あひにこまかに区切る冬の田は水みなもてり日昏れ早くて
絶えまなく空移る雲湖にかげさすときは雲うすくして
いのち削ぐ思ひに一日過ぎたりしわが血脈の太く浮きゐる
みづすまし泪ぐましく泳ぎゐる寂光院の庭にわがたつ
淋しさに来しわれならずバーにゐてくるみを割ればくるみの音ぞ