問題 – Question
〈青日傘さして白昼の苑にゐし女あやめとなりて出で来ず〉という巻頭歌で始まる、小島ゆかりの第四歌集は何?
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解答 – Answer
『獅子座流星群』
解説
『獅子座流星群』は1998年(平成10年)に出版された小島ゆかりの第四歌集です。平成6年夏から平成9年冬までの作品500首が収められています。
他者や物事を見つめる眼に独自の視点と鋭さがありますが、ただ単に冷静に見つめているのではなく、著者の歌にはやさしさとぬくもりを感じます。
それは日常、人間関係、出来事、すなわち生きるというすべてのことに対して、悲観的ではないということなのでしょう。楽観的といえばいい過ぎかもしれませんが、人生に対して肯定的に物事を捉えているのではないでしょうか。その捉え方が短歌として成立したとき、一首一首はどこかあたたかさを感じる歌になっているのだと思います。
歌の技術的な面はもちろん安定しており、その上で著者の人生に対する肯定的な捉え方があるため、本歌集の歌を読んでいると本当に短歌のよさと心地よさを感じさせてくれるのです。
『獅子座流星群』より五首
豆電球のやうにこころは点りたりわけのわからぬ生をおもへば
卵黄の明かりを点しゆふぐれは毛深くならん人間の顔
ぎんなんは木の実時間の実 遊星のやうに子供が公孫樹をまはる
鐘りんごん林檎ぎんごん霜の夜は林檎のなかに鐘が鳴るなり
木の実ふる林の道の行き止まりくちばし形の夕月のぼる