問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈【 ① 】一個置くやうにきみに拒まれて空の真青き週末にをり〉 (横山未来子)
A. 時計
B. 梨
C. ペン
D. 餅
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解答 – Answer
B. 梨
解説
梨一個置くやうにきみに拒まれて空の真青き週末にをり
掲出歌は、横山未来子の第二歌集『水をひらく手』の連作「扉」に収められた一首です。
相手、それも特別な相手から拒まれるときの思いというのはひとことでは言い表せないほどの感情だと思います。そしてそれはどれほど拒まれているかによっても左右されるでしょう。
掲出歌では「梨一個置くやうに」拒まれたと書かれています。相手からどのように拒まれたかの比喩として「梨一個」がとても微妙な距離を出しています。
それは梨一個分の大きさだけ拒まれたというふうにもとれますが、正確には「梨一個置くように」拒まれたのですから、一個分の大きさと単純に言い切れるものでもありません。
また10cmか20cmほどの梨一個分という大きさは、物体的な大きさ以上に、間に置かれたという事実によって、主体にとってはサイズ以上に感情に大きく影響しているでしょう。
そして「空の真青」が、かえって拒まれたときのさみしさを増幅させています。それも週末です。
「梨一個」は相手にとっては、あるいはそれほど大きな拒みではなかったのかもしれませんが、主体にとっては確実に梨一個そしてそれ以上の感情の揺らぎが表れている一首なのだと感じます。