問題 – Question
〈領したきものとして見つほつほつと沫雪ふれる日の人の素手〉という巻頭歌で始まる、横山未来子の第二歌集は何?
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解答 – Answer
『水をひらく手』
解説
『水をひらく手』は2003年(平成15年)に出版された、横山未来子の第二歌集です。26歳から30歳までの作品367首を収録しています。
歌集名にも含まれていますが「水」のイメージが多く登場する一冊です。
湿っぽいじめじめとした水ではなく、非常に透明感のある透き通った水であると感じます。それは韻律の心地よさから立ちあがる歌柄によってもたらされるものなのだと思います。
しかしただ透き通った感情というわけではありません。感情の複雑で深い部分が、韻律と事物と相まって伝わってくるところに歌を読む心地よさと魅力を感じます。
『水をひらく手』から五首
今日を待ち張りつめてゐし胸ならむ魚跳ねて水のひかり割れたり
逢ひしことの温度を永く保たむととざせり耳をまなこを喉を
かなしみの一部をわれの掌へ促しながら雪を待ちゐつ
生きてゐる今日の日は昏れさつさつと過ぎゆく鳥の腹部を見上ぐ
手探りに歩むに疲れここからは来るなとふ強きこゑも欲りゐつ