問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈【 ① 】呼吸しているような静けさで傘さしてゆく紫陽花の道〉 (小島なお)
A. 肺
B. 深
C. 鰓
D. 皮膚
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解答 – Answer
C. 鰓
解説
鰓呼吸しているような静けさで傘さしてゆく紫陽花の道
掲出歌は、小島なおの第二歌集『サリンジャーは死んでしまった』の連作「爬虫類」に収められた一首です。
「静けさ」の比喩として、何をもち出せばもっとも静けさを表現できるでしょうか。
季節は紫陽花の咲く5月か、6月。傘を差しているので雨が降っているのでしょう。
人は肺呼吸であって、鰓呼吸するのは魚類などです。呼吸は意識すると、その音を感じてしまいます。意識していないときは呼吸していることすらも忘れていますが、一旦呼吸に意識がいくと、呼吸音というものが聞こえてくるのです。
鰓呼吸は肺呼吸よりももっと静かなのでしょうか。人にはできない鰓呼吸が登場することでひっそりと呼吸するイメージが喚起され、その静けさは紫陽花の色と相まって、とてもやさしくやわらかい静けさを読み手にもたらしてくれる一首です。