問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈少年の眼が【 ① 】に似て恋ふる夜の海鳴りとうら若き漁夫〉 (春日井建)
A. 赤魚
B. 黒亀
C. 白鳥
D. 青貝
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解答 – Answer
D. 青貝
解説
少年の眼が青貝に似て恋ふる夜の海鳴りとうら若き漁夫
掲出歌は、春日井建の第一歌集『未青年』の連作「水母季」に収められた一首です。
「少年」「眼」「青貝」「恋」「夜」「海鳴り」「うら若き」「漁夫」と道具立てがそろっています。それらが一首として成立したとき、何とも甘美で妖しげな印象を感じさせます。
青貝とは、螺鈿の材料とする真珠光を帯びた貝で、夜光貝やおうむ貝、あわび等の貝殻を指します。青春という言葉にも「青」が使われていますが、少年にとって「青」という色はとても似つかわしい色で、ここに登場する「青貝」が少年の眼と非常にマッチしているといえるでしょう。
そして「少年」と「うら若き漁夫」との組み合わせが一層甘美な感じを遺します。「うら若き」という表現が抜群に巧いと思います。
実景云々はさておき、言葉の斡旋だけで強烈なイメージを喚起させることができることを教えてくれる一首です。