問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈別れわかれて身ひとつ残るこの夜明けただ【 ① 】飲むだくだくと飲む〉 (林和清)
A. 光
B. 真水
C. 季節
D. 唾
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解答 – Answer
B. 真水
解説
別れわかれて身ひとつ残るこの夜明けただ真水飲むだくだくと飲む
掲出歌は、林和清の第一歌集『ゆるがるれ』の連作「かをらぬ」に収められた一首です。
誰か大切な人と別れた後の場面でしょう。別れた後の主体の心はいかばかりでしょうか。精神的なダメージが大きく、ひょっとすると冷静な思考もできない状態かもしれません。
そんな状態で、主体の身ひとつだけが夜明けに残されているのです。真水をこれでもかというほど飲み続けたのでしょう。「飲む」の繰り返しと「だくだく」という表現がそれを物語っています。
人の体のほとんどは水分からできています。そこに真水を流し込むということは、夜明けに残された身は水を欲している、つまり大量の真水を受け入れるほどカラカラになっていたのではないでしょうか。
気持ちの整理の前に、まずは体に真水を流し込むようにひたすら「飲む」という行為が必要だったのでしょう。精神的なものを潤すには、その前に身体的なものを潤す必要がある、そんなことを考えさせられる一首です。