麻雀の歌 #9

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麻雀の短歌

国士無双十三面待ち華やいで進むべき道いつか間違う
小坂井大輔『平和園に帰ろうよ

小坂井大輔の第一歌集平和園に帰ろうよ(2019年)に収められた一首です。

麻雀において、複数の和了あがり牌で待つことを多面待ちといいますが、大体が3種類の牌以上で待てる場合を指すことが多いでしょう。

そんな中13種類の和了牌で待つことができる唯一の手役が「国士無双」です。国士無双は、一九字牌だけを集めてつくる役満で、役満の中では比較的よくできるもののひとつです。通常、麻雀は数牌なり字牌なりをまとまりごとに揃えていくゲームですが、国士無双は例外で、手がばらばらであることによって成立する手役となっています。

麻雀は手牌13枚に、1枚をツモってくるわけですが、「国士無双十三面待ち」となるには一九字牌が重なることなく手が進行していかなければなりません。したがって、国士無双はよく現れるとしても、国士無双十三面待ちはなかなか見る機会がないと思います。

三句「華やいで」が、その珍しさに対する興奮をよく表していると感じます。めったにできることのない待ち方であるがゆえ、ワクワクとドキドキが入り混じったような感情がそこに表れているのでしょう。

そんな状況の中、下句では「進むべき道いつか間違う」と展開していきます。

国士無双十三面待ちは、非常に稀な出来事であり、狙ってできるものではなく、僥倖といえるものかもしれません。そういうラッキーに一度出会ってしまうと、自分はこのようなラッキーに繰り返し巡り合うことができると錯覚してしまうものです。実際は、このようなラッキーは偶然起こっただけなのに、そのラッキーの幻影を追いかけて、いつしか間違った道を歩んでしまっているということを、この下句はいっているのだと思います。

国士無双十三面待ちの手牌のバラバラ感も、道を間違ってしまう前兆のようなものを暗に示しており、とても効果的だと感じます。

麻雀は「人生の縮図」にも喩えられ、大変面白いゲームですが、その魅力が大きくなればなるほど、反動も大きくなるといった側面があり、この一首を読んで麻雀の魅力と怖ろしさについて改めて考えされられました。

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