短歌の母音や子音の並びを調べたいんだけど、簡単に表示する方法はないかな?
そんなときはこのツールを使ってみてはどうかな?
概要
短歌の評において、音韻に注目した発言を聞くことがあります。例えば「A音の頭韻が開放的で明るい印象を与える」や「このS音の連続によって一首に爽やかさがもたらされている」などです。
一首の音韻を母音と子音に分けて調べようとするとき、一文字ずつ母音と子音に分解してアルファベットを書き出していく必要が生じます。その音列を見て、音韻に偏りがあるとかばらばらであるとかを見ていくことになります。数首であれば手で書き出していけばいいのですが、まとまった数の歌を見ていこうとするとなかなか労力がいるものです。そこでもう少し簡単に音韻を表示できないかと思い作成したのが、ここでご案内するツール「音韻分解&ai律・母音律グラフ作成Excel」です。
せっかくだから音韻分解だけでなく、その結果をグラフ表示してみるとよりわかりやすいのではないかと思い、グラフ表示機能も加えました。グラフについては、岡井隆『短詩型文学論』(金子兜太との共著)に登場する「ai律」および「母音律」を各シートに表示できるようにしました。ai律と母音律の詳細は本書を参照いただきたいと思いますが、簡単に説明すると次のようなものになります。
- ai律
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5つの母音の音韻の特質を表現するために、それぞれに定量値を設定します。つまり重み付けを行い、各定量値はa=0、o=0.5、u=1.5、e=2.5、i=3.0とします。短歌一首の母音順列にこの数値を適用し図示します。折れ線で結ぶと特徴ある線形が現れますが、この線をai律と呼びます。
- 母音律
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ai律で求めた母音順列において、その前後二音の間の変化の大きさ(勾配)の連続をグラフ化したもの。上昇を+、下降を-として二音間の落差をグラフにすれば、上下に揺れながら左から右へと進む波のような振幅が現れます。この波形を母音律と呼びます。
文字だけではわかりにくく、中々イメージが湧きにくいと思います。母音律は子音を捨象して母音のみに注目したグラフです。詳しくは『短詩型文学論』をご覧ください。
さて、本ツールは短歌一首を母音・子音列に分解し、それを元にai律と母音律のグラフを図示をできるだけ簡単に行えるようにしたものです。まとめると以下の機能となります。
本ツールの機能
- 短歌一首の読み仮名から音韻分解(母音列・子音列の表示、母音数の表示)を行う
- ai律グラフを表示する
- 母音律グラフを表示する
使用方法
操作手順
四角い太線枠の中に、短歌一首の読み仮名を入力します。
ひらがなでもカタカナでもどちらでも構いません。ただし歴史的仮名遣いの場合は現代仮名遣いに変換して入力してください。一度に入力できる音数は最大40音です。
(ここでは例として斎藤茂吉の一首〈死に近き母に添寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる〉を例に取ります)
画面右部に表示されている小ウィンドウの「実行」ボタンをクリックします。
入力された読み仮名から、各音に対する子音・母音が表示されます。またA・I・U・E・O・N(撥音)の音数が何音あるかを表示しています。下部の「重み」「差」はこの後のai律・母音律グラフに使用するための情報を示しています。
シート「グラフ①ai律」を選択し、ai律グラフが表示されていることを確認します。
シート「グラフ②母音律」を選択し、母音律グラフが表示されていることを確認します。
ai律と母音律を同一画面で見る場合は、シート「グラフ①+②両方」を選択します。必要に応じて印刷やPDF出力すると結果を手元やデータに保管することができます。
動作確認
Microsoft Office Excel 2019(OSはWindows 10 Pro) にて動作確認しております。その他のバージョンでもご使用いただける場合がありますが、確認できておりませんのでその点ご了承ください。
注意事項
- インストールは不要ですが、使用するにはMicrosoft Office Excelが必要です。
- 無償でご使用いただけますが、ソースコードの著作権は「tankalife」に帰属します。
- 無保証です(プログラミング上の誤りやその他の瑕疵のないことを保証するものではありません)。
- 本ツールの使用に起因して、使用者に生じた損害について、原因の如何を問わず一切の責任を負わないものとします。
- 本ツールを無断で再配布することを禁止します(ご紹介いただくのは大歓迎です)。
- 本ツールの仕様およびウェブサイト等に記載されている内容は、将来予告なく変更されることがあります。
ダウンロード(無料)
「音韻分解&ai律・母音律グラフ作成Excel」は以下のボタンからダウンロードできます(無料)。