補色の歌 #4

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補色の短歌

樟の葉に朱の葉まじるをあおぎみて午後の講義に急がんとすも
島田幸典『駅程』

島田幸典の第二歌集駅程(2015年)に収められた一首です。

クスノキは、春に古い葉を落とし、新しい葉との入れ替えを行います。古い葉は赤く色づき、やがて落ちてきます。

この歌は、そんな春の午後を詠った一首です。

緑色の樟の葉に、やがて落ちていく赤い葉がまじっているところを見上げています。そして、午後の講義に急いで向かおうとしているのです。著者は歌人でありながら、大学教授でもあります。ですからここで詠われている講義は、教わりにいくものではなく、教えにいく講義を指しているでしょう。

午後の講義の時間が迫っているのですが、樟の葉をあおぎみる心の余裕が、春のあたたかさと相まって感じられます。このような背景から、ここで登場する補色は緑の葉と赤い葉のくっきりとした対比ではなく、むしろやわらかな色合いの対比を感じられる一首となっています。

樟の葉
樟の葉

補色とは?

色相環で正反対に位置する関係の色の組合せのことで、余色、対照色、反対色などとも呼ばれます。例えば、赤と緑、黄と紫、橙と青など。補色の効果として、互いの色を引き立て合う相乗効果があります。

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