チョコレートの歌 #20

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チョコレートの短歌

復活祭の卵の形のチョコレート割れば生まれぬ今日の私が
香川ヒサ『ヤマト・アライバル』

香川ヒサの第八歌集ヤマト・アライバル(2015年)に収められた一首です。

「復活祭の卵の形のチョコレート」とは、イースターエッグの形をしたチョコレートのことでしょう。

有名なものとして、フルタ製菓が発売する「チョコエッグ」があります。卵の形のチョコレートの中が空洞になっていて、そこにアニメや漫画のキャラクターのおもちゃが入っています。中にどのおもちゃが入っているのか、開けるまでが本当に楽しみで、ガチャガチャを回すときのようなワクワク感があります。

さて、店舗やウェブサイトで販売されている「復活祭の卵の形のチョコレート」は、中からおもちゃなり、マスコットキャラクターなり、小さな置き物なり、いずれにしても”モノ”が登場しますが、掲出歌はどうもそう単純ではないようです。

エッグチョコレートの中から登場するのは、何と「今日の私」なのです。

現実的な視点で見れば、「私」は今ここに存在しており、決してエッグチョコレートの中にいるわけではありません。しかも、チョコレートを割っているのは「私」であり、その中からまた「私」が登場するというのはあり得ないことだと思っても仕方がないでしょう。

しかし、この歌はそのように現実に忠実に読む必要はありません。エッグチョコレートの中から出てくるのは「今日の私」であってもいいのです。喩えるなら、占いやおみくじのような感じで捉えるとわかりやすいでしょうか。

エッグチョコレートを割って出てくるのが「今日の私」であるなんて、なんて楽しいのでしょう。開けるまではどんな私が登場するかわかりません。喜んでいる私、怒っている私、うれしい私、楽しい私、悲しい私、泣いている私、無表情な私などなど。あるいは、それらすべてを含んだ私かもしれません。

「今日の私」を客観視できたとき、私は私の輪郭を確かに捉えることができ、今日一日を納得して過ごすことができるのではないでしょうか。ありのままの自分であること、ありのままで充分満たされていること。どのような今日の私であっても、その私を受け入れて生きていくことができれば、それだけでもう充分素晴らしいことなのだと感じます。

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