問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈【 ① 】よりも静かに父がいる春のみぞれのふるゆうまぐれ〉 (藤島秀憲)
A. 牡羊座
B. 置時計
C. 川おもて
D. 脈拍音
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解答 – Answer
B. 置時計
解説
置時計よりも静かに父がいる春のみぞれのふるゆうまぐれ
掲出歌は、藤島秀憲の第二歌集『すずめ』の一連「そこそこの春」に収められた一首です。
他者の存在や気配といったものを、普段人は何をもって感じとっているのでしょうか。
掲出歌には、「父」が登場しますが、父の存在感はとても小さなもののように感じられます。それは「置時計よりも静かに」という表現によってもたらされているのですが、ただでさえ静かな置時計と比較されることによりその静かさが一層増してくる印象があります。
その静かな父を見たときの主体の気持ちは如何ばかりだったのでしょうか。
「春のみぞれ」「ゆうまぐれ」といった状況が、決して歓喜に満ちた思いではなかったことを物語っています。
しかし、どれほど静かであったとしても、父がそこにいることは間違いありません。
この歌は「置時計」という比較対象が提示されることで、父の気配の程度が巧みに表現された一首だと思いますが、表現の巧みさよりも、その奥にある主体の置かれた状況や思いやをあれこれと考えさせられる歌で、印象に残ります。
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