問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈たかだかと呼び出しのこゑ伸びてゆく【 ① 】のやうな体育館に〉 (池田はるみ)
A. 畑
B. 脾臓
C. 雲間
D. 牧歌
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解答 – Answer
A. 畑
解説
たかだかと呼び出しのこゑ伸びてゆく畑のやうな体育館に
掲出歌は、池田はるみの第七歌集『亀さんゐない』の一連「相撲とコロナ」に収められた一首です。
この三首前の詞書に「二〇二〇年春場所は無観客相撲」とあり、掲出歌も相撲の歌として詠われています。
体育館を「畑のやうな」と喩えたところが、ユニークであり魅力的に感じます。これは無観客であるからこその喩であり、もし観客がいたとすれば「畑のやうな」とはならなかったでしょう。
新型コロナウイルス感染症の影響により無観客相撲となったのですが、観客がいないから「呼び出しのこゑが伸びてゆく」のです。その様子が「畑」の喩によって、なおさら説得力をもって読み手に伝わってくる歌ではないでしょうか。
新型コロナウイルス感染症が感染症法上の五類へ移行した現在、今後無観客になる日はもう訪れないかもしれませんが、無観客相撲という特殊な状況があったからこそ生まれた一首であり、この一首はその時代背景とともに印象深く心に残る歌だと思います。