問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈【 ① 】のやうな湯気なりユンボーの掘り返したる土砂の中から〉 (田村元)
A. 炒飯
B. 湯豆腐
C. ホットショコラ
D. 素うどん
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解答 – Answer
A. 炒飯
解説
炒飯のやうな湯気なりユンボーの掘り返したる土砂の中から
掲出歌は、田村元の第二歌集『昼の月』の連作「靴下の木」に収められた一首です。
工事現場でしょうか。パワーショベルが土砂を掘り返すところを見ている場面です。
掘り起こされた土砂からは土煙が立ちのぼってくるのですが、それを「炒飯のやうな湯気」に重ね合わせたところに、この歌の面白さがあります。
土煙を何に見立てるかは人によって異なりますが、食べ物に重ねたところに独特の視点があると思います。また食べ物の中でも何に重ね合わせるかはいろいろあるでしょうが、作者は「炒飯のやうな湯気」を土煙に見たのです。
炒飯というのが絶妙で、炒飯と詠われると、土砂のイメージと米粒のイメージがどこか共通のものとして表れ、土砂を掘り返すさまが、中華鍋で炒飯をつくるさまとやはりどこかリンクするように感じます。
土砂のパラパラ感と、炒飯のパラパラ感。
これらは直接的につながるようには詠われていませんが、この一首を読むと、これら二つのイメージは読みの背後で、読者に自然と促されるイメージの重ね合わせとなって表れてくるように思います。そこがこの歌の巧さなのではないでしょうか。
食べものの歌を多く詠む作者ならではの視点で、ユニークな一首だと感じます。