問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈【 ① 】をけずったような対話だね まばゆい夏の岸を離れて〉 (井上法子)
A. 樫の木
B. 水晶
C. ペーパーナイフ
D. 両翼
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解答 – Answer
B. 水晶
解説
水晶をけずったような対話だね まばゆい夏の岸を離れて
掲出歌は、井上法子の第一歌集『永遠でないほうの火』の連作「永遠でないほうの火」に収められた一首です。
この歌は「水晶」が独特の喩として用いられています。水晶はそれ自体すでに鋭利な部分を備えていて、言葉としての「水晶」はどちらかといえば透き通ったイメージがあります。
「水晶をけずったような対話」とはなかなか具体的に捉えがたい対話のイメージであり、読み手によっては抱くイメージも異なるかもしれません。
しかし、すでに鋭利である水晶をさらに削るという行為は、どこか痛みを伴うような感覚を覚えさせるのではないでしょうか。
またこの上句は誰に向かって述べられた言葉でしょうか。誰かというよりも、自分自身に向けて発せられた言葉のように感じます。
言葉で説明するのは難しいのですが、「水晶」「まばゆい」「夏」などの語から、鋭さや明るさの混じった光のイメージが伝わってきて惹かれる一首です。