問題 – Question
〈夏の夜の団地の部屋のカーテンに海を想えば海は見えくる〉という巻頭歌で始まる、笹公人の第四歌集は何?
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解答 – Answer
『念力ろまん』
解説
『念力ろまん』は2015年(平成27年)に出版された、笹公人の第四歌集です。2010年から2015年の作品が収録されています。
著者は歌人のみならず、ミュージシャンでもあり、またオカルトやSFにも造詣が深く、それら複数の視点を存分に活かした歌が本歌集に取り上げられています。
歌集名の通り、著者が得意とする「念力的世界」は読むほどに癖になるといいますか、読んでいて楽しく、なぜか心がほっとするような気持ちになってしまうものです。
詠われているのは、我々が知る通常の世界とは別の世界の出来事なのでしょうが、どこか日常とつながっているように感じる別世界なのです。そのあたりが、読んでいて楽しく感じる理由なのかもしれません。一首一首から広がる世界がひとつの物語のように感じます。
固有名詞が多数登場するのも特徴的です。
本歌集は『念力家族』『念力図鑑』に続く念力三部作の三冊目です。存分に念力的世界を味わえる一冊だと思います。
『念力ろまん』から五首
アルミホイルを体に巻いた宇宙人も歩みいるなり学祭の夜は
三角縁神獣鏡を磨くのみ卑弥呼の家来の家来の一日
夕焼けの鎌倉走る サイドミラーに映る落武者見ないふりして
にんげんのともだちもっと増やしなと妖怪がくれた人間ウォッチ
いつのまにか消えたナメクジ 玄関まで「伯方の塩」を持ってきたのに