問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈うつむいて並。 とつぶやいた男は【 ① 】素顔となった〉 (斉藤斎藤)
A. 優しい
B. 哀しい
C. 激しい
D. 嬉しい
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解答 – Answer
C. 激しい
解説
うつむいて並。 とつぶやいた男は激しい素顔となった
掲出歌は、斉藤斎藤の第一歌集『渡辺のわたし』の連作「一神教の都合」に収められた一首です。
「うつむいて並」はファーストフードチェーンで、牛丼か何かの並盛を頼む場面でしょう。
注文し終えた後、その男は素顔に戻ったのですが、その素顔が何と「激しい素顔」だったというのです。
一般的に、素顔とはその字の通り「素」の「顔」であり、その人が本来もつありのままの表情であり、どちらかといえば感情を伴わない顔を指すと思います。
しかしこの歌では、男の素顔は「激しい」ものだったのです。「激しい素顔」とは一体どのような顔なのでしょうか。
「素」の「顔」であるはずの「素顔」が「激しい」ものであったというところに、この男の人生や生活の厳しさが表れているように感じます。外向きにつくっている顔よりも、元々素顔の方があるいは厳しいものなのかもしれません。
並盛を注文し終えた後に「激しい素顔」を見るあたり、特別な場面ではなく、ごくありふれた日常であるところに、より一層男の素顔の激しさが垣間見える一首だと思います。