問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈冬の光 にげまどうスープの具たち 【 ① 】の人だけゆける王国〉 (雪舟えま)
A. 夢
B. 傷
C. 風邪
D. 無職
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解答 – Answer
C. 風邪
解説
冬の光 にげまどうスープの具たち 風邪の人だけゆける王国
掲出歌は、雪舟えまの第二歌集『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』の連作「♥ありが東京」に収められた一首です。
「風邪の人だけゆける王国」とは一体どんな王国なのでしょうか。
実際に風邪をひいた場面であると仮定して想像してみると、冬に風邪をひいてスープを飲んでいる様子が浮かんできます。スープには具が入っているのですが、うまく掬えず、まるでスープの具はにげまどっているように思えます。
風邪で頭がぼおーっとして、思考もいつも通りにはいきません。そんな頭だからこそ想像できる世界があると思います。その世界こそが「風邪の人だけがゆける王国」なのかもしれません。
しかしこの歌については、あまり論理的に解釈する必要はないのでしょう。むしろ、一字空けされた三つのパートのリズム感や、そこで提示される状況や世界をそのまま受け入れて読む方がいいように感じます。
「風邪の人だけゆける王国」というのも、そういう限定された王国があるのだ、どんな王国だろうと素直に受け取ること、そしてその世界を想像して楽しむことが、この歌を読むうえでは最もよい読みなのではないでしょうか。
理詰めで歌を理解するのではなく、そこで展開される世界を詠われたままに感受するといった行為が、この一首をより一層魅力的なものに感じさせてくれるのだと思います。
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