問題 – Question
〈廊下から渡り廊下へ移るとききみは季節をたしかめている〉という巻頭歌で始まる、岡本真帆の第一歌集は何?
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解答 – Answer
『水上バス浅草行き』
解説
『水上バス浅草行き』は2022年(令和4年)に出版された、岡本真帆の第一歌集です。
日常の出来事がわかりやすい言葉で、しかし単純ではなく奥深い短歌になっています。読者を置き去りにせず、共感できる歌が多くありますが、言葉の奥にある感情のようなものを一首一首から感じますし、読み進めるほどにどんどん次の歌を読みたくなってきます。
共感できるといっても、誰でも同じようにそのような歌をつくることができるのかといえばそうではありません。やはりそこには著者ならではの味わいがあると思います。
ひとことでいえば、一首を読んだ後に心が少しプラスに傾く、そんな印象の短歌なのではないでしょうか。状況としては悲しい場面を詠っても、その短歌はただ悲しいだけではなく、どこか前向きな部分を含んでいるように思います。そしてそのような向日性をそなえた短歌に魅力を感じてしまうのです。
Twitterでの発信においてもとても人気のある歌人で、ファンにとっても今回初めて著者の短歌に触れる人にとっても、本歌集は待望の一冊です。
『水上バス浅草行き』から五首
3、2、1、ぱちんでぜんぶ忘れるよって今のは説明だから泣くなよ
にぎやかな四人が乗車して限りなく透明になる運転手
ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし
もう君が来なくたってクリニカは減ってくひとりぶんの速度で
丸ノ内線が地上に出るときはみんなあかるい方を見ている