補色の歌 #5

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補色の短歌

縁にでて見れば鳳仙花ほうせんくわさく庭の草の中よりかぎろひの立つ
佐藤佐太郎『帰潮』

佐藤佐太郎の第五歌集帰潮(1952年)に収められた一首です。

鳳仙花ほうせんかは6~9月頃に花を咲かせる植物です。花の色は赤、ピンク、白、紫などさまざまありますが、ここでは有名な赤色の鳳仙花と捉えたいと思います。

鳳仙花の赤色と草の緑色の対比が色彩的にくっきりとした効果をもたらしています。

その草の中から「かぎろひ」が立ったといっています。ここでいう「かぎろひ」(陽炎)は夜明け方の光を指すのでしょう。朝の庭のひとところから夜明け方の光が満ちてくる様子が、鳳仙花と草の色彩とともに輝きをもちながら眼前に迫ってくるようです。

直接的に心境を表す言葉は詠われていませんが、この情景からとても清々しい朝の心持ちを思い浮かべることができる一首だと感じます。

鳳仙花ホウセンカ
鳳仙花

補色とは?

色相環で正反対に位置する関係の色の組合せのことで、余色、対照色、反対色などとも呼ばれます。例えば、赤と緑、黄と紫、橙と青など。補色の効果として、互いの色を引き立て合う相乗効果があります。

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